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AIとディープラーニング、その活用方法

AIが購買を予測する?

みなさんは食品スーパーに行くときに食事メニューを決めてでかけますか?
私個人は、ほぼ100%に近いくらいメニューを決めてから出かけたいタイプです。
どちらかというと目的のない購買は時間の無駄ぐらいの感じです。
「出かけたい」と表現した部分は察してください。
一人ではないことも多いのです。・・(苦笑

メニューの先に商品があると思いますが、この商品まで決めて購入される方(つまり計画購買者)は食品スーパーに来店する方の20~30%いる。といわれています。
つまり、非計画購買者は70%~80%もいるのです。

さて話は変わります。いきなり飛んでAI(人工知能)についてです。
AI(人工知能)が注目されている理由を皆さんはご存知でしょうか。
その1つが予測能力の高さです。

2016年、Googleが開発したAlphaGoというAIが世界最強の囲碁棋士の一人、韓国の李世乭さんとの5番勝負を勝ち越し(4勝1敗)、ついに機械(=AI)が人間を超えたと話題になりました。
しかし、実際のAIは機械ではなく、DLP(ディープラーニングプログラム)といわれるプログラムの一種なので、正確にはプログラムが勝利した。というのがより正しいのでしょう。

DLP(ディープラーニングプログラム)の強みと弱み

DLPの「こうすれば勝てる」という予測能力が人間を上回ったとも言えますが、どうしてこうしたことが可能になったのでしょうか。

端的には、人間(この場合は世界最強棋士)よりも
・過去の対局でのプロセスデータと勝敗データを数多く読み込んで暗記し、
・囲碁のルールに基づき、手数と相手の打ち手に対し、勝利確率の高い差し手を導き出し、
・正確に碁の差し手を指示した。
からとなるでしょう。

ここに現状のDLPの強さと弱さが見え隠れします。
前述の囲碁の話からもお分かりのようにその強みは、
 ① 大量のデータを瞬時に読み込むことができる
 ② 明確なルールの下で論理的に解決できる
 ③ 明確な答え(確率)を受けて正確にやり遂げる
であり、反対にその弱みは、
 ④ 大量のデータが必要になる
 ⑤ 明確なルールが必要である
 ⑥ 表情やしぐさから相手の気持ちを思いやったり、忖度できない。
ということになります。
そして何よりも難しいのがどうしてその方法を選択したか(案を提示してくれたか)が人間には「わかりにくい」という点です。


ディープラーニングプログラム(DLP)活用の課題

現時点での日本のAI活用はあまり進んでいるとは言い難い状況かもしれません。
AIを我社も導入したいから開発してくれ。とご依頼を受けたときに困るのがまずデータ量があまりに少ない。という課題です。
ほぼ1つの因果関係、あるいは多くても複数個の因果関係で導き出せる。
極端には相関係数で説明できそうなものが多い点です。
この場合は大量データを読むよりも少量のデータから一意的回答を得る従来のプログラム開発の方がはるかに効率的かもしれません。

次に困るのが、事前ルールから確認しなければならないことがあまりにも多く、そのルールが結構変わってしまう。という点です。
これは現状のシステム開発にもつながる課題なのかもしれません。現在アジャイル開発が普及し、ルールづくりではなくコードをひたすら書き続けるというためだけに時間がとられる。ということは少なくなったかもしれませんが、プログラムが動くためには最初に明確なルールを決めなければなりません。

このため、現実的には超限定的な作業を行うAIを人がチューニング作業を繰り返しながら活用する、あるいはメニューを人が選択して作業を行うものが多いのも現実です。

進化を続けるデータ環境とDLPの開発

ではAIを活用しない、あるいは開発に取り組まなくていいのでしょうか。
答えはNoではないでしょうか。前述のDLPの弱みだった
④は多くのサポート団体が現れ、以前より活用しやすくなってきました。また、大量のデータを扱えるサーバーや回線の金額もだいぶリーズナブルになってきました。
⑤はルールを生み出すプログラムが諸作業限定で生み出され活用され始めています。
⑥はまだこれからかもしれませんが、画像解析や動画の圧縮解凍処理の技術開発によって更に進化していくでしょうから、表情を色コードでとらえて忖度ルールを生み出し、答えを出してくれる日もそう遠くない時期に来るかもしれません。
少なくともペッパー君やsiriが冗談を言えるようになったように、テキストや音声のレベルでは十分可能な状況が生まれています。

DLP(ディープラーニングプログラム)と今後の購買行動予測

話はもどり、購買シーンです。
このコロナ禍でこれまでかたくなにECを活用していなかった70歳以上の方々のEC活用が始まっています。安いものや重くてかさばるものだけでなく高価な金額の買い物が多いのも特徴のようです。

非計画購買70%~80%をどう購買に誘導するのか、店舗内のMDだけではなく、ECでのMDの戦いも確実に激しさを増しています。既存の流通の他にメーカー直、アフィリエイターやライバーなど売る側の種別も店舗も多い戦いです。

リアル店舗、ECを問わず売れる商品、購入金額、売上、利益を予測する、そんな需給予測ツールが存在し始めています。

リアル店舗での商品点数(=ここではSKU)は食品スーパーで12,000~15,000といわれEC最大手のamazonでは数億を超えるといわれます。

ECのトランザクションを含めたデータは莫大です。

気が付いてうちもAIをやろう、といったときには、新しい販売方法に追いつけない。ということもありそうです。

前述のDLPの強み①大量データ処理、②明確な論理解決、はそのままに、アクセス日時、位置情報、購買履歴など数多くの道筋から自身に最適な食事メニューが提示されるのは近い未来の現実でしょう。

私の忖度の終わりも近い。そう願いたいものです。(笑


April 13 , 2021
S.Kurasawa

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